チームメンバーの「自ら育つ力」を引き出す!リーダーのための成長支援と対話の具体策
チームメンバーの成長を後押しするリーダーシップとは
日々のチーム運営、お疲れ様です。チームの目標達成を目指す中で、メンバー一人ひとりの成長は欠かせない要素です。特に変化の速い現代や、リモート・ハイブリッドワークといった多様な働き方が広がる中では、メンバーが自律的に学び、成長していく力がチーム全体の推進力となります。
一方で、「メンバーの成長意欲にばらつきがある」「リモートワークだと成長の様子が見えにくい」「どうすればメンバーの成長を効果的にサポートできるのか分からない」といった悩みをお持ちのリーダーも少なくないのではないでしょうか。
この記事では、チームメンバーの「自ら育つ力」を引き出し、チーム全体の成長に繋げるための、リーダーが実践すべき具体的な成長支援と対話のコツをご紹介します。高度な理論ではなく、明日からでも実践できる方法に焦点を当てて解説します。
なぜ今、メンバーの自律的な成長支援が重要なのか?
チームメンバーが自律的に成長することは、単に個人のスキルアップに留まりません。チーム全体にとって、以下のような重要なメリットをもたらします。
- チームのレジリエンス向上: 変化への適応力が高まり、予期せぬ課題にも柔軟に対応できるようになります。
- イノベーションの創出: 新しい視点やスキルがチームに持ち込まれ、アイデア創出や問題解決の質が高まります。
- エンゲージメントとモチベーション向上: 成長を実感することは、仕事へのやりがいや貢献意欲を高め、メンバー間のモチベーション格差の解消にも繋がります。
- リーダーの負担軽減: メンバーが自律的に問題解決できるようになることで、リーダーはより戦略的な業務に集中できます。
これらのメリットを享受するためには、リーダーが意図的にメンバーの成長を後押しする関わりを持つことが不可欠です。
メンバーの「自ら育つ力」を引き出す具体的なステップ
メンバーの自律的な成長を支援するためには、一方的に「教える」のではなく、「伴走する」姿勢が重要です。ここでは、そのための具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:メンバーの現状理解と信頼関係構築(対話の土台)
成長支援の第一歩は、メンバー一人ひとりの「今」を理解することです。どのようなスキル、経験、知識を持っているかだけでなく、どのようなことに興味を持ち、どのようなキャリアを目指しているのか、どんなことに悩んでいるのかを知ることが重要です。
そして、これらの本音を引き出すためには、日頃からの信頼関係が不可欠です。心理的安全性の高い関係性の中で、メンバーは安心して自分の考えや課題を話すことができます。
【実践のコツ】
- 定期的な1on1の実施: メンバーと一対一で話す時間を設け、業務の進捗だけでなく、キャリアやプライベートも含めたざっくばらんな対話を心がけます。(ただし、プライベートへの過度な干渉は避け、相手が話したい範囲で耳を傾ける姿勢が大切です。)
- 日々の非公式なコミュニケーション: リモート環境でも、チャットやバーチャルオフィスツールなどを活用し、業務以外の雑談も交えながら気軽に話せる雰囲気を作ります。
- 傾聴の姿勢: メンバーの話を遮らず、真剣に耳を傾け、「あなたの話を大切に思っている」という姿勢を示します。
ステップ2:成長目標の「共創」(メンバー主体での目標設定支援)
リーダーが一方的に目標を与えるのではなく、メンバー自身が「何を」「どのように」成長させたいかを考え、目標設定をサポートすることが重要です。メンバー自身が納得して設定した目標は、主体的な取り組みに繋がりやすくなります。
【実践のコツ】
- 対話を通じて目標を引き出す: 「今後、どのようなスキルを伸ばしたいですか?」「このプロジェクトで、どのようなことに挑戦してみたいですか?」など、問いかけを通じてメンバー自身の内発的な動機を引き出します。
- 具体的な目標設定をサポート: 抽象的な目標ではなく、期限や達成基準が明確な具体的な目標設定を支援します。「SMART原則」(Specific: 具体的に, Measurable: 測定可能に, Achievable: 達成可能に, Relevant: 関連性のある, Time-bound: 期限を設ける)などを参考に、メンバーと一緒に目標を具体化します。
- チーム目標との連携: 個人の成長目標が、チームや組織全体の目標達成にどのように貢献するのかをメンバーと一緒に考え、目標に意味付けを行います。
ステップ3:成長プロセスにおける継続的な対話とフィードバック
目標を設定したら終わりではありません。成長はプロセスであり、その過程でリーダーの継続的な関わりと適切なフィードバックが不可欠です。
【実践のコツ】
- 日々の声かけと進捗確認: 目標達成に向けた進捗を定期的に確認し、「困っていることはないか」「必要なサポートはあるか」を声かけします。リモート環境では、チャットや短いオンラインミーティングなどを活用し、こまめなコミュニケーションを心がけましょう。
- 効果的なフィードバックの提供:
- ポジティブフィードバック: メンバーの頑張りや小さな成長も見逃さず、具体的に承認・評価します。「〇〇さんの△△の対応、顧客から感謝されて素晴らしかったよ。あの場面で、あなたが自主的に判断して行動できたのは大きな成長だと思う」のように、状況(Situation)、行動(Behavior)、結果(Impact)を具体的に伝えると、メンバーは「何を継続すれば良いか」が明確になります(SBIモデル)。
- 改善を促すフィードバック: 改善点について話す際は、人格や能力を否定するのではなく、具体的な行動に焦点を当てます。「いつも報告が遅い」ではなく、「先日の会議資料の提出、期日を過ぎていたね。事前に相談があれば調整できたかもしれない。今後は早めに状況共有してもらえると助かるな」のように、状況、行動、そしてその結果や影響、そして今後の期待を具体的に伝えます。
- フィードバックは双方向で: リーダーから一方的に伝えるだけでなく、メンバーからの自己評価や、リーダーへのフィードバックも求めることで、対話を通じた相互理解が深まります。
- 「ティーチング」と「コーチング」の使い分け:
- ティーチング: 知識やスキルを直接教える。経験の浅いメンバーや、特定の技術習得が必要な場合に有効です。
- コーチング: 問いかけを通じて、メンバー自身に考えさせ、答えや気づきを引き出す。ある程度経験があり、自ら考え成長できるメンバーに有効です。「この課題、どうしたら解決できると思う?」「目標達成のために、次に何を試してみる?」といった問いかけをします。メンバーの状況に合わせて、関わり方を変えることが重要です。
ステップ4:成長を後押しする機会提供と環境整備
メンバーの成長意欲をさらに高め、実践の場を提供することもリーダーの重要な役割です。
【実践のコツ】
- ストレッチアサインメント: メンバーの少し背伸びが必要なレベルの仕事や役割を任せることで、新たなスキル習得や視野拡大を促します。ただし、丸投げではなく、適切なサポート体制を整えることが大前提です。
- 権限委譲: メンバーに一定の権限を与えることで、責任感や主体性を育み、意思決定能力を高めます。どこまで任せるかの線引きを明確にし、困ったときに相談できる環境を用意します。
- 学びの機会提供: 研修参加、書籍購入支援、社内外のメンターとの交流機会設定など、メンバーが成長に必要な知識やスキルを習得できるような機会を提供します。チーム内で勉強会を実施することも有効です。
リモート・ハイブリッド環境ならではの成長支援の工夫
リモート・ハイブリッドワークでは、対面でのコミュニケーションが減るため、意図的な工夫が必要です。
- 非同期コミュニケーションの活用: チャットツールで日々の小さな頑張りを称賛したり、プロジェクト管理ツールでタスクの完了に対してポジティブなコメントをつけたりと、非同期でも気軽にフィードバックや承認を行う習慣をつけます。
- オンラインツールの活用: 共有ドキュメントで目標や進捗を「見える化」したり、タスク管理ツールのコメント機能でアドバイスを送ったりと、オンラインツールを積極的に活用して成長プロセスをサポートします。
- 意図的な1on1の計画: 対面と比べて偶発的な対話が減るため、オンラインでの1on1を定期的にスケジュールし、質の高い対話の時間を確保することがより重要になります。カメラをオンにして、お互いの表情を見ながら話すことで、より深いコミュニケーションが可能になります。
さいごに
チームメンバーの成長を支援することは、一朝一夕にできることではありません。時間と根気が必要なプロセスです。しかし、リーダーがメンバー一人ひとりに真摯に向き合い、成長を心から応援する姿勢を持ち続けることで、メンバーは必ず応えてくれます。
メンバーの成長は、チームの成長であり、ひいてはリーダー自身の成長にも繋がります。今日ご紹介した具体的なステップやコツを参考に、ぜひあなたのチームで実践してみてください。メンバーの「自ら育つ力」が引き出された時、チームは想像以上の力を発揮するはずです。
応援しています!