チームリーダーが実践!メンバーの「強み」を引き出し成果を最大化する具体策
チームを率いるリーダーとして、日々の業務でメンバーの能力を最大限に引き出し、チーム全体の成果を高めることは重要な目標です。特に、多様なバックグラウンドや経験を持つメンバーが集まる現代において、一人ひとりの持つ「強み」を理解し、それをどう活かすかが、チームのパフォーマンスを大きく左右します。
しかし、「メンバーの強みを見つける」と言われても、具体的にどうすれば良いのか、見つけた強みをどう業務に繋げれば良いのか、迷うこともあるかもしれません。また、リモートワークが進む中で、対面でのコミュニケーションが減り、メンバーの隠れた強みや貢献意欲が見えにくくなったと感じているリーダーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、チームメンバー一人ひとりの「強み」を見つけ、それをチームの成果に繋げるための具体的な実践方法をご紹介します。これらの方法は、今日からすぐにあなたのチームで活用できるものばかりです。
なぜ、今メンバーの「強み」を活かすことが重要なのか?
メンバーの強みを活かすことは、単に「得意なことをやってもらう」ということ以上の効果をもたらします。
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メンバーのモチベーション向上とエンゲージメント強化: 人は、自分が得意なことや情熱を傾けられることに関わる時、より高いモチベーションを発揮します。強みが活かせる業務は、メンバーにとって「やりがい」に繋がりやすく、自律的な貢献を促します。これは、特にリモートワーク下でのエンゲージメント維持に有効です。
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チーム全体の生産性と効率の向上: メンバーがそれぞれの強みを活かせる役割を担うことで、業務の質とスピードが向上します。苦手なことを無理に行うよりも、得意な分野に集中する方が、個人としてもチームとしても高いパフォーマンスを発揮できます。
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多様な課題への対応力強化: チーム内に多様な強みがあることは、予期せぬ課題や変化に対して、多角的な視点から対応できる力になります。異なる強みを持つメンバーが協力することで、一人では解決できない問題も乗り越えやすくなります。
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自律性と創造性の促進: 自分の強みを認識し、それを活かす機会を与えられたメンバーは、より自信を持って業務に取り組み、自律的に工夫や改善を行うようになります。これにより、チーム全体の創造性も刺激されます。
メンバーの「強み」を見つける具体的な方法
メンバーの強みは、必ずしも目に見えるスキルや経験だけではありません。その人の思考パターン、行動特性、情熱を傾けていることなど、多岐にわたります。リーダーとして、メンバーの強みを見つけるための具体的なアプローチをご紹介します。
1. 継続的な1対1の対話(1on1)
最も基本的でありながら、最も効果的な方法の一つが、メンバーとの定期的な1対1の対話です。単なる業務進捗確認にとどまらず、以下のような質問を投げかけてみましょう。
- 「今、担当している業務の中で、特に面白いと感じることは何ですか?」「どんな時に一番やりがいを感じますか?」(興味や情熱の方向性を見つける)
- 「これまでの経験で、特に『これはうまくいったな』というプロジェクトやタスクは何ですか? その成功の要因は何だったと思いますか?」「その時、ご自身のどんな力が活かせたと思いますか?」(過去の成功体験から強みを深掘りする)
- 「チームの中で、『このことなら誰よりも詳しくなりたい』『もっと専門性を高めたい』と思う分野はありますか?」(意欲やポテンシャルを見つける)
- 「もし今の業務に加えて、何か新しい役割やチャレンジをするとしたら、どんなことに関心がありますか?」(隠れた興味や挑戦したい分野を探る)
これらの質問を通じて、メンバー自身の言葉から、彼らが何に価値を感じ、何が得意だと認識しているのかを知ることができます。また、リーダー自身の観察とメンバーの自己認識を擦り合わせる機会にもなります。
2. チーム内でのシェア&フィードバック機会の創出
チーム全体での活動を通じて、互いの強みを発見・共有する機会を設けることも有効です。
- 「成功事例」の共有会: プロジェクト完了後などに、「この成功において、〇〇さんのこういう行動やスキルが特に貢献した」といった具体的なフィードバックを、チーム内でオープンに共有する時間を設けます。これにより、メンバーは自分の強みがチームにどう貢献しているかを実感できますし、他のメンバーの強みにも気づくことができます。
- 簡易的なワークショップ: 例えば、「自分の強み」や「チームメンバーの素晴らしいところ」を付箋に書き出し、共有する簡単なワークショップを行うのも良いでしょう。ツールとしては、ストレングスファインダーのような診断ツールも参考になりますが、まずはメンバー同士の相互理解を深めることから始めるのも手です。
- 「教えて〇〇さん!」セッション: 特定のスキルや知識に長けているメンバーに、チーム内でその知見を共有してもらう短い発表会や勉強会を企画します。これにより、そのメンバーの専門性という強みが可視化されるとともに、他のメンバーのスキルアップにも繋がります。
3. 日々の業務での観察
定常的なコミュニケーションやイベントだけでなく、日々の業務におけるメンバーの行動を注意深く観察することも非常に重要です。
- どのようなタスクを自律的に、あるいは楽しそうに進めているか?
- 他のメンバーが困っている時に、自然とサポートに入っている分野は何か?
- 会議で、特定のテーマについて積極的に発言したり、鋭い質問をしたりしているか?
- 作成するドキュメントや提出物の質が特に高いのはどの分野か?(論理的思考力、資料作成スキルなど)
- 新しいツールや情報への感度が高いのは誰か?
特にリモートワーク環境では、オフィスでの偶発的な会話が減るため、チャットでの発言内容、共有されるドキュメント、オンライン会議での貢献度など、デジタルな活動から強みのヒントを見つける意識を持つことが大切です。
見つけた「強み」をチームの成果に繋げる具体的なアプローチ
メンバーの強みを見つけることは第一歩です。次はその強みをチームの成果に結びつけるための具体的な働きかけが必要です。
1. タスク・役割のアサインメントへの反映
メンバーの強みが活かせるタスクや役割を積極的に任せましょう。
- 例1:データ分析が得意なメンバー プロジェクトの企画段階で市場データの分析タスクを任せたり、進捗報告会でデータの裏付けに基づいた説明役を担ってもらったりする。
- 例2:コミュニケーション能力が高く、調整が得意なメンバー 部署横断プロジェクトの窓口や、ステークホルダーとの折衝が必要なタスクを担当してもらう。
- 例3:新しいツールやテクノロジーへのキャッチアップが早いメンバー チームへの新ツール導入時の情報収集や検証、簡単なレクチャー役を依頼する。
単に「このタスク、〇〇さんにできる?」と聞くだけでなく、「〇〇さんのこれまでの経験(あるいは〇〇さんのこういう強み)が、このタスクで活かせると思うんだ」と、期待する理由を具体的に伝えることで、メンバーの納得感とモチベーションは高まります。
2. チーム内の協業体制の設計
メンバーそれぞれの強みが補完し合えるような協業体制を意識的に作り出します。
- 強みを活かしたペアリング: 例えば、企画力はあるが実行計画を立てるのが苦手なメンバーと、計画策定やタスク管理が得意なメンバーでペアを組ませる。
- チーム内メンター/アドバイザー制度: 特定の分野で強みを持つメンバーに、「〇〇に関する相談なら、〇〇さん」という役割を非公式・公式に与えます。質問しやすい雰囲気を作ることもリーダーの役割です。
3. 強みを活かした貢献機会の創出
メンバーの強みがチーム全体にプラスの影響を与えるような機会を設けます。
- 知見共有の場の設定: 先述の「教えて〇〇さん!」のような形式や、社内Wiki・ナレッジベースでの記事執筆を推奨するなど、得意分野の知識やノウハウを共有する機会を提供します。
- 意思決定プロセスへの巻き込み: 特定の分野に関する意思決定を行う際、その分野に強みを持つメンバーの意見を重視し、決定プロセスに積極的に巻き込みます。これにより、メンバーは自身の専門性が認められていると感じ、貢献意欲を高めます。
4. 適切なフィードバックと承認
メンバーが自分の強みを活かして成果を出した際には、それを具体的に承認し、フィードバックを伝えることが不可欠です。
- 「〇〇さんの、あの時データに基づいて論理的に説明してくれたおかげで、チームの方向性が明確になったよ。ありがとう。」
- 「リモートでの難しい調整だったけれど、〇〇さんの粘り強いコミュニケーションのおかげで、無事合意形成できたね。素晴らしい強みだと思う。」
このように、どのような強みが、どのようにチームの成果に繋がったのかを具体的に伝えることで、メンバーは自身の強みを再認識し、さらにそれを伸ばそうという意欲を持ちます。
リモートワーク環境での「強み」の活かし方
リモートワークでは、メンバーの働く様子が見えにくいため、強みを見つけ、活かすためには工夫が必要です。
- 非同期コミュニケーションの活用: チャットツールでの発言や共有されるドキュメント(議事録、企画書など)から、そのメンバーの論理構成力、文章力、情報収集力といった強みが見えてくることがあります。リアクションやコメントで、それらの貢献を具体的に称賛しましょう。
- オンラインツールを使ったワークショップ: オンラインホワイトボードツール(Miro, Muralなど)やアンケートツールを活用して、メンバーの得意なことや関心事を共有するワークショップを企画できます。
- 成果物ベースの評価: プロセスが見えにくくても、成果物を通してメンバーの強みを評価しやすくなります。どのような点にそのメンバーらしさや強みが出ているか、具体的な成果物を示しながらフィードバックを行います。
- バーチャルな「得意なことリスト」: チーム内で簡単な自己紹介シートを作成し、「〇〇については、△△さんに聞くと良い」といった、お互いの強みリストを共有するのも効果的です。
まとめ:強みを活かすリーダーシップの実践
メンバーの「強み」を理解し、それをチームの成果に繋げることは、リーダーにとって終わりのない探求です。それは、単にタスクを割り振るのではなく、メンバー一人ひとりの可能性を信じ、それを引き出し、輝かせるためのリーダーシップの実践と言えるでしょう。
今日から、まずは一人のメンバーとじっくり対話する時間を設けてみてはいかがでしょうか。彼らの言葉に耳を傾け、日々の業務での貢献を注意深く観察し、小さな強みを見つけたら、すぐに具体的なフィードバックを伝えてみてください。
メンバーの強みが活かされるチームは、メンバーのモチベーションが高く、生産的で、何よりも働くことへの喜びを感じられる場所になります。あなたのチームを、メンバー一人ひとりが輝ける場所にしていきましょう。