メンバーの成長と信頼を築く!すぐに役立つ1on1の実践ステップと質問例
チームを率いるリーダーの皆様、日々のマネジメント業務、お疲れ様です。
チームの成果を最大化し、メンバー一人ひとりの能力を引き出すために、リーダーとして様々なアプローチをされていることと思います。その中でも、メンバーとの信頼関係を深め、個別の課題に対応するための強力なツールとなるのが「1on1ミーティング」です。
しかし、「忙しくて時間が取れない」「何を話せばいいか分からない」「形式的なものになってしまう」といった声も少なくありません。特にリモートワーク環境下では、偶発的な会話が減り、意識的にメンバーと向き合う時間を設けることの重要性が増しています。
この記事では、チームリーダーの皆様が明日からすぐに実践できる、効果的な1on1ミーティングの進め方と、具体的な質問例をご紹介します。メンバーの成長を後押しし、チームの一体感を高めるために、ぜひ参考にしてください。
なぜ今、1on1が重要なのか?
1on1ミーティングは、リーダーとメンバーが一対一で定期的に行う対話の時間です。単なる業務報告会や進捗確認とは異なり、メンバー個人のキャリアや成長、抱える課題、心理的な状態などに焦点を当てることが特徴です。
この1on1が現代のチームマネジメントにおいて重要視される理由はいくつかあります。
- 信頼関係の構築: メンバーは、自分の話に耳を傾けてもらえることで安心感を得られ、リーダーへの信頼感が増します。心理的安全性の高いチームを作る上で欠かせません。
- エンゲージメントの向上: 個人の目標やキャリアについて話し合うことで、仕事への主体性やモチベーションが高まります。
- 課題の早期発見と解決: メンバーが抱える業務上の悩みや人間関係のコンフリクトなど、表面化しにくい問題を早期に察知し、解決に向けたサポートができます。
- メンバーの成長促進: 強みや改善点をフィードバックし、今後の成長に向けた具体的なアクションプランを一緒に考えることができます。
- リモートワーク下でのコミュニケーション補完: オフィスでの立ち話や気軽な相談が減るリモート環境では、意図的にコミュニケーションの機会を設けることが、一体感の維持に繋がります。
効果的な1on1のための準備
1on1を実りある時間にするためには、事前の準備が大切です。
目的の明確化
まずは、「なぜこのメンバーと1on1を行うのか」という目的を明確にしましょう。 * キャリア目標の確認とサポート * 業務上の課題解決支援 * モチベーションやエンゲージメントの向上 * チームへの貢献度や強みの把握 * 心理的な健康状態のチェック
これらの目的をメンバーにも共有することで、お互いに何を話す時間なのかを理解し、安心して臨むことができます。
アジェンダ設定と共有
テーマを事前に決めておくことで、時間を有効に使えます。アジェンダはリーダーだけでなく、メンバーにも事前に考えてもらい、共有することが望ましいです。これにより、メンバーも主体的に1on1に参加する準備ができます。
アジェンダ例: 1. チェックイン(近況や体調など簡単な会話) 2. 直近の業務でうまくいったこと・課題に感じていること 3. チームや組織に対して感じていること・提案 4. 自身のキャリアやスキル開発について 5. その他、個人的に相談したいこと 6. ネクストアクションの確認
時間と場所の確保
定期的に実施することが重要です。週に1回、隔週に1回など、頻度を決めてスケジュールをブロックしましょう。時間は30分〜1時間程度が一般的です。他の業務に邪魔されない、集中できる環境を確保します。リモートの場合は、他のタブを閉じたり、通知をオフにしたりする配慮が必要です。
1on1の実践ステップと具体的な質問例
いよいよ1on1当日です。以下に、会話をスムーズに進めるためのステップと質問例をご紹介します。最も重要なのは、リーダーが「聞く」姿勢を持つことです。話す時間の割合は、メンバーが7〜8割、リーダーが2〜3割が理想と言われます。
ステップ1:チェックイン(開始〜最初の5分)
まずはリラックスした雰囲気を作ります。天気の話や週末の過ごし方など、業務から離れた軽い会話から始めましょう。
質問例: * 「最近、調子はどうですか?」 * 「週末は何をして過ごしましたか?」 * 「今日の気分はいかがですか?」
リモートの場合は、簡単なビデオオンでの雑談も効果的です。
ステップ2:メインセッション(中心となる時間)
事前に共有したアジェンダに沿って、メンバーの話を聞きます。メンバーが話しやすいように、オープンクエスチョン(Yes/Noで答えられない質問)を心がけましょう。
業務・チームに関する質問例: * 「直近のプロジェクトで、特にやりがいを感じたのはどんな時ですか?」 * 「逆に、一番苦労している点は何ですか?どんなサポートがあれば解決できそうですか?」 * 「チームの雰囲気について、最近どう感じていますか?」 * 「チームの業務プロセスで、改善できる点はありますか?」 * 「他のメンバーとの連携で、何か困っていることはありますか?」 * 「最近、何か新しいアイデアや提案はありますか?」
成長・キャリアに関する質問例: * 「今後、どのようなスキルを伸ばしていきたいですか?」 * 「〇〇さんのキャリアプランについて、今考えていることを教えていただけますか?」 * 「今の業務を通じて、どのような経験を積めていると感じていますか?」 * 「挑戦してみたい仕事や役割はありますか?」 * 「成長のために、リーダーに期待することはありますか?」
モチベーション・コンディションに関する質問例: * 「最近、仕事へのモチベーションはどんな感じですか?」 * 「何か個人的に気がかりなことや、集中できていないと感じる要因はありますか?」 * 「仕事とプライベートのバランスは取れていますか?」 * 「何か体調や心のコンディションで気になる点はありますか?」
傾聴と深掘り: メンバーの話に対しては、ただ聞くだけでなく、相槌を打ったり、頷いたり、相手の言葉を繰り返したりして、積極的に聞いている姿勢を示しましょう。
- 「それは具体的にはどういうことですか?」
- 「〇〇さんがそう感じるのは、どのような背景があるのでしょうか?」
- 「その状況に対して、〇〇さんはどうしたいと考えていますか?」
のように深掘りすることで、メンバーの本音や真の課題に辿り着きやすくなります。
ステップ3:ネクストアクションの確認(終了前の5〜10分)
話した内容を踏まえ、今後のアクションを明確にします。誰が何をいつまでに行うかを具体的に決め、必ず記録に残しましょう。リーダー側のアクション(例:〇〇さんに相談してみる、関連情報を提供するなど)も明確にすることが、メンバーの信頼に繋がります。
質問例: * 「今日話した内容を踏まえ、次回までにお互いどんなことに取り組んでみましょうか?」 * 「この件について、私がサポートできることはありますか?」 * 「次のステップとして、まず何をしましょうか?」
ステップ4:チェックアウト(終了)
簡単に内容をまとめ、メンバーに感謝を伝えて終了です。次回の1on1の確認もしておくとスムーズです。
質問例: * 「今日の1on1について、何か言い残したことはありますか?」 * 「今日は貴重なお話をありがとうございました。次回の〇月〇日もよろしくお願いします。」
リモートでの1on1の工夫
リモートワーク環境下での1on1は、対面とは異なる工夫が必要です。
- ツールの活用: ZoomやTeamsなどのビデオ会議ツールはもちろん、会話中にリアルタイムで議事メモを共有できるツール(Google Docs, Notionなど)を使うと、認識のずれを防げます。
- 非言語情報の補完: 画面越しでは相手の表情や雰囲気を掴みにくいことがあります。意識的に表情を明るくしたり、声のトーンに気を配ったりしましょう。また、メンバーにも可能な範囲でビデオオンをお願いすると、お互いの様子が分かりやすくなります。
- プライバシーへの配慮: 自宅から参加するメンバーもいるため、背景に映るものや生活音など、プライバシーに配慮した環境で行うように促しましょう。
1on1を成功させるためのポイント
- 継続すること: 一度きりではなく、定期的に継続することで効果を発揮します。忙しくても、優先順位を上げて取り組みましょう。
- 評価面談との違いを明確にする: 1on1は評価の場ではありません。あくまでメンバーの成長支援とコミュニケーションのための場であることを明確にし、メンバーが安心して話せる環境を作りましょう。
- リーダー自身の課題も話す: 適度な自己開示は、メンバーからの信頼を得る上で効果的です。「最近こんなことに悩んでいてね」など、リーダー自身の人間的な一面を見せることで、メンバーも自身の悩みを打ち明けやすくなります。
- 話した内容の守秘義務: メンバーが安心して話せるように、1on1で話されたプライベートな内容やデリケートな情報は、本人の許可なく他のメンバーや関係者に共有しないことを徹底します。(ただし、法的に開示義務がある場合や、本人や他者の安全に関わる場合は例外です。)
- 完璧を目指さない: 最初から全てを完璧に行う必要はありません。まずは始めてみて、メンバーからのフィードバックも得ながら、少しずつ改善していく姿勢が大切です。
まとめ
チームメンバーとの効果的な1on1ミーティングは、単なるタスク管理や進捗確認を超え、メンバーのエンゲージメント向上、成長促進、そしてチーム全体の心理的安全性を高めるための強力な手段です。
ご紹介したステップや質問例を参考に、ぜひ今日からチームメンバーとの対話の質を高めていきましょう。一対一の真摯な向き合いが、必ずやチームの力強い推進力となるはずです。
リーダーの皆様のチームマネジメントの一助となれば幸いです。